2012年09月14日
死んでも治らない

若竹七海のオムニバスミステリーです。
元警察官・大道寺圭は、一冊の本を書いた。警官時代に出会ったおバカな犯罪者たちのエピソードを綴ったもので、題して『死んでも治らない』。それが呼び水になり、さらなるまぬけな犯罪者たちからつきまとわれて……。大道寺は数々の珍事件・怪事件に巻き込まれてゆく。
ブラックな笑いとほろ苦い後味。深い余韻を残す、コージー・ハードボイルドの逸品!
なんて説明が書いてあるものだから、ドジで間抜けで憎んでも憎み切れない犯罪者たちがくり広げるコメディータッチの作品だと思いきや、全然違いました!
ハードボイルドです。でもって犯罪者たちはあくまで悪人で可愛げがありません。作者もそんな犯罪者たちに容赦なく罰を与えていきます。そこが爽快でもありますね。
連作短編集の形ではありますが最後まで読むと全体が見えてくるという、作者が得意とするパターンを踏襲しています。
そういった伏線の張り方はお見事です。
実に面白い作品でした
